西洋音楽はキリスト教音楽から発達したと言われる程、西洋音楽と教会音楽は深い関係にあります。
グレゴリオ聖歌
現存する西洋音楽の中で、再現が可能なもっとも古い音楽とされています。
ハーモニー等はなく、メロディーラインがひとつだけのいわゆる単旋律で全員が同じ旋律を歌います。
カトリック教会のミサの為の聖歌です。
ミサ曲
一般的にキリエ、グローリア、クレド、サンクトゥス、アニュス・デイの5曲で編成されます。
昔、ミサの典礼文は朗読されていましたが徐々に音程が付けられる様になりグレゴリオ聖歌に繋がります。
グレゴリオ聖歌の発達に伴い、典礼文と固有のメロディが1対1の関係で固定化されていきました。
その後は多声ミサ曲が生まれ、オーケストラと合唱による大規模なものになっていきます。
モテット
13世紀頃、グレゴリオ聖歌の旋律を一部アレンジしたクラウスラが歌われる様になりました。
クラウスラは聖歌の一部だけを取り出している為、言葉としては意味を成さなかったものに改めて新たな歌詞を付けたものがモテットです。
コラール
プロテスタントの讃美歌として生まれたのがコラールです。
ローマンカトリックは聖歌にハーモニーを付ける事を禁止していましたが、コラールではハーモニーを積極的に取り入れています。
しかし教会に集まった誰でも歌える様にとシンプルな旋律で作られています。
コラールの始まりは宗教改革の中世末期に、「聖歌は自分たちの言葉で歌いたい」という動きから生まれました。
(グレゴリオ聖歌は一般には使われないラテン語で歌われていました)
カンタータ
合唱と器楽のアンサンブルによる、ルター派の礼拝の為の楽曲です。
通常6~7曲で構成され合唱、独唱、朗唱などが組み合わされ最後はコラールで締めくくります。
※カンタータが神への愛を歌う教会音楽を指す様になったのは、1704年にルター正統派の牧師E.ノイマイスターが出版した「教会音楽に代わる宗教的なカンタータ」で、タイトルにカンタータを掲げて以来と言われています。
受難曲
4つの福音書(マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネ)に基づいてキリストの裁判や処刑、それに伴う苦痛、苦悩などの受難を描いた楽曲です。
受難曲の発展は、4世紀後半に典礼でイエスの受難物語が朗唱されていた頃から始まります。
15世紀のルネサンス期には多声化が図られ、17世紀後半のドイツではそれまでの無伴奏だった受難曲に管弦楽や合唱を伴いオラトリオ受難曲として発展しました。
18世紀になると新たに作詞をされた受難物語に当世風の音楽をつけたもの(受難オラトリオ)が生まれ
福音書に基づいた作品はあまり描かれなくなっていきました。
オラトリオ
バロック音楽を代表する楽曲形式のひとつ。
ローマカトリックの宗教曲で、聖書の台詞が多く用いられます。